契約中のさくらのVPSのOSを再インストールする必要があるため、VPSをもう1台契約しバックアップを保持しながら、VPS間のローカルネットワークを構成して、ファイル転送によってセットアップを効率よく行いました。その際に行ったローカルネットワークを構成するために必要なスイッチの作成と各VPSのネットワーク設定について記載します。
さくらのVPSでローカルネットワークの構築
ローカルネットワークとは
製品情報ローカルネットワーク
さくらのVPSの特長の1つがローカルネットワークです。
- VPSのどのプランでも接続可能
- 同一リージョン内のVPS間で接続可能
- 1会員IDにつき1リージョンで作成可能なスイッチ数が20個
- 回線帯域は1Gbps(ベストエフォート)
- 同一会員で契約したVPSサーバーが接続可能
- 「さくらのVPS for Windows Server」とは接続できない
さくらのVPSでは以下の3拠点から選択できます。
-
- 東京
- 大阪
- 石狩
リージョンごとに値段が異なります。
同じ設置場所であればローカルネットワーク接続が可能です。
2021年7月現在、3拠点どのリージョンも1ゾーンのみの提供で複数のゾーンを提供していません。今のところリージョン=ゾーンと解釈できます。
NG
東京リージョン(東京第2ゾーン)のVPS 2Gプランと大阪リージョン(大阪第3ゾーン)のVPS 2Gプランをローカルネットワークに接続
OK
東京リージョン(東京第2ゾーン)のVPS 1Gプランと東京リージョン(東京第2ゾーン)のVPS 2Gプランをローカルネットワークに接続
ローカルネットワークを構成するにはスイッチの作成が必要です。
まずスイッチを作成し、そのスイッチにVPSサーバーのネットワークインターフェースカード(以下NIC)を接続します。
さくらのVPSには複数のNIC(eth0/eth1/eth2)が用意されています。
eth0はインターネット接続用で1つのグローバルIPアドレスが割り当てられています。
ローカルネットワークに使用できるNICはeth1/eth2です。
さくらのコントロールパネルへログイン
スイッチの作成とVPSの接続先設定の操作はさくらのコントロールパネルから行います。
以下は、さくらのコントロールパネルへのログイン方法です。
まず、さくらのVPS
【会員IDログイン】ページが表示されます。
ログインはさくらの会員IDでログインから行います。
契約中のVPSの接続先設定の操作を行うので、さくらの会員IDでログインします。
【さくらインターネット 会員認証】ページが表示されます。
会員IDとパスワードを入力しログインをクリックします。
正しい認証方法にて認証を行ってください。
認証が成功するとさくらのVPS サーバ一覧画面が表示されます。
各サーバーのゾーン情報から、どのゾーンにスイッチを作成するのかを決定します。
スイッチの作成
スイッチメニューを選択するとスイッチ一覧のページが表示されます。
作成済みのスイッチがないので、fa-plus スイッチ作成ボタンを押してスイッチを作成します。
【スイッチ作成】ページが表示されます。
作成するスイッチの情報を入力して、よければスイッチ作成ボタンを押してスイッチ作成を完了します。
スイッチの作成が正常に完了すると【スイッチ一覧】に作成したスイッチの情報が表示されます。
接続先を設定
接続先の設定を行うにはサーバーを停止した状態でなければなりません。
端末からshutdownコマンドを発行したり、コントロールパネルから電源操作で強制停止したり、その他いかなる方法で停止操作を行った場合でも、サーバのステータスが停止中にならなければサーバーを停止した状態と判断されないため接続先の設定はできません。
サーバー一覧を表示します。
接続先を設定するサーバーを停止します。
最も簡単なサーバーの停止方法は、停止したいサーバー名の先頭にあるチェックボックスを☑の状態にしてシャットダウンボタンを押してシャットダウンを実行する方法です。そのサーバーを停止することの影響は私にはわかりません。サーバーの停止は自己責任で実施してください。
ページ下へスクロールして、ネットワークインターフェースの項目の場所まで移動し、右端にある接続先を設定するのボタンを押します。
NIC名 eth1の接続先を変更します。
接続先のプルダウンリストから作成したスイッチ【移設用スイッチ】を選択します。
NICの設定
接続設定でスイッチに接続したeth1に対して、通信ができるようにIPアドレスの設定などネットワークに関する設定を行います。
今回設定するのはIPv4のIPアドレスとサブネットマスクのみの非常に簡単な内容です。今回はIPv4のプライベートアドレス範囲のうち192.168.0.0〜192.168.255.255(クラスC)を使用していますが、10.0.0.0〜10.255.255.255(クラスA) 172.16.0.0〜172.31.255.255(クラスB) でも可能です。一般的には接続する台数で決定します。今回は2台だけなのでどれでもよいでしょう。
IPアドレス(IPv4):192.168.1.1 または 192.168.1.2
サブネットマスク:255.255.255.0(24ビットマスク)
サーバーに導入しているOSおよびバージョンによって、NICの名称やネットワークの設定方法が異なります。MACアドレスの番号一致でNICのeth1がどれなのかを特定します。
# ifconfig
eht1のMACアドレスと同じネットワークインターフェースはvtnet1でした。
[aside type=”normal”]一時的な設定
# ifconfig vtnet1 inet 192.168.1.1 netmask 255.255.255.0
[/aside]
[aside type=”warning”]恒久的な設定
rc.confにNICの設定を追加
# vi /etc/rc.conf
ifconfig_vtnet1=”inet 192.168.1.1 netmask 255.255.255.0″
設定の更新
# /etc/netstart
または
# shutdown -r now
[/aside]
# ifconfig
eht1のMACアドレスと同じネットワークインターフェースはeht1でした。
標準OSだと同じインターフェース名になるようです。
[aside type=”warning”]Network Manager(CLI)を使用
すでにDeviceとConnectionは存在していますのでそれぞれ状態を表示します。
# nmcli device
device 【eth1】は状態が【disconnected】です。
# nmcli connection
connection【System eth1】はdeviceに接続されていません。
connection 【System eth1】をdeviceに接続します。
# nmcli connection up "System eth1"
先ほどと同じようにdeviceとconnectionの状態を確認します。
# nmcli d
# ncmli c
nmcli d の d は device の省略です。
nmcli c の c は connection の省略です。
device 【eth1】がconnection 【System eth1】に接続され状態が【connected】であることが確認できました。
IPアドレス(ipv4)とサブネットマスクを設定変更(ifcfg-eth1の内容が更新)
# nmcli c mod eth1 ipv4.method manual ipv4.addresses 192.168.1.2/24
connection設定を反映
# nmcli c u "System eth1"
[/aside]
簡単な確認方法としてping 192.168.1.1(自ホスト)とping 192.168.1.2(相手のホスト)を実行してどちらも応答があればネットワークの設定は完了です。
今回はこのローカルネットワークの設定方法について記載しました。
実際には各VPS間で連携をしたりデータ転送をするためにはアプリケーションの設定が必要です。
ファイル転送が行えるようにsshサーバとsshクライアントの設定について次は記載したいと思います。