地デジの録画環境の構想

新しく構築する地デジ放送の録画環境について考えてみました。

※ここで記載しているDTCP-IPについては、デジタル放送を録画したPCや機器のみで再生する場合には無関係です。ネットワーク接続された別のPCや機器で再生する場合の話になります。

1.WHSに録画機能を追加する

現行のWHSをメディアサーバ+録画サーバとして利用する案です。
DTCP-IPへの対応は困難そうなので以前試しで使ったPT2を再度利用します。
PT2を使用することで著作権保護機能を回避することが可能です。
最初は録画と視聴専用PCを別途構築して環境を整えたのち、WHSに移せばよいかと考えています。
録画と視聴までは正常にできることを確認しましたが、大量の録画データを圧縮し、それを視聴できるまでにする工程の動作確認がまだです。
エンコードなりトランスコードなりはそのオプションが定まれば解決ですが、そこにたどり着くまでがとにかく時間がかかりそうです。
さらに、それを自動タスクで処理しないといけないわけですし、10フィートGUIで視聴したいという意図もあり現状のハードウェア構成ではなかなか手が出せない状況です。
懸念点は、WHSのディスク書き込み速度です。書き込み速度がボトルネックで録画データや変換で問題が発生しそうです。
なお、ドライブエクステンダーサービスはソフトウェア機能ですし、ディスクアクセスを高速化する技術ではありません。

必要な物
・PT2で録画したデータを分離、圧縮など後処理を自動で実行する環境の構築
・今より高性能なグラフィックカード
・今より高性能なCPU
・TVに接続するDTCP-IP対応のメディアプレイヤー(WHSで再生するなら不要であるがHDMI用のWHS対応ドライバがあるのか不明)

メリット
・浮遊パーツになっているPT2、カードリーダやB-CASカードを有効利用できる
・煩わしい著作権保護の影響を無視できるようになる

デメリット
・WHSがWindows2003ベースなので動画のエンコード環境、デコード環境などを整備するのが面倒
・PT2およびDTV関連ソフトでの録画環境構築と自動分離圧縮処理の環境整備の手間がかかる。
・録画スパンによっては問題が発生する可能性がある
・録画や圧縮にリソースを占有されるためにハイスペックPCが要求される
・DTV関連ソフト自体は有志の方々の成果物であり、動作およびその影響になんら保証はない。

2.次期WHS(Vail)をメディアサーバ&録画サーバに使用する

次期WHSを従来の機能(ファイル共有、バックアップサーバ)+メディアサーバ&録画サーバとして利用する案です。
現行WHSは新WHSが安定稼動したところで運用を停止します。
著作権保護機能は解除せずそのままでトランスコードチップ搭載のチューナカードにより録画後の手間を無くそうと考えています。
このサーバ以外で再生するのであればDTCP-IPによるストリーミング配信をどうするかが鍵になります。
できれば再生もWHSにより行いたいところですが性能的に無理そうならPS3をDTCP-IP対応メディアプレイヤーとして利用し再生機を別途用意する予定です。
既存のWHSから移行を考慮するとVailを試運転して期待通りの結果になるかをいろいろ実際にやってみないといけません。
しかし、現状のVailはBeta版であり、いつになるのかわからない製品版の仕様もどうなることやら。DTCP-IPには未対応なので、今後どうなるかも疑問です。
未対応のままなら、チューナカード購入時にDTCP-IP対応のDLNAサーバソフト付属製品を選択すればソフト自体は入手できますが、実際、動作するのかは不明。

必要な物
・HDD2TB(既存WHSから移行を考えるとこれくらいの容量が新たに必要)
・地デジ対応チューナーカード(DiXiM Media Serverソフト同梱必須、トランスコード録画対応必須)
・次期WHSのVail(※現在はBeta版
・TVに接続するDTCP-IP対応のメディアプレイヤー(WHSで再生するなら不要)

メリット
・Windows2008R2ベースなのでWindows7のドライバソフトが使用できれば新しい製品で構成できる。
・チューナ付属ソフト任せでなんとかなりそう。
・既存HTPCのハードウェア構成のまま使用できそう。

デメリット
・ドライバソフトの導入、ソフトウェアの導入など多くの難題をクリアしなければならない。
・再生機(DTCP-IP対応、DLNAクライアント対応プレイヤー機能)が別途必要になりそう。(HTPCに使用しているマザーはG35なので性能に不安有り)
・Vialはbeta版であるため、仕様が変わると試運転が無意味になる可能性あり。

3.録画サーバ兼再生PCを構築する

録画サーバのOSをWindows7として新規購入し、録画および再生用に使用する案です。
既存のWHSをバックアップサーバのみに使用するなどWHS収束の方向で考え、ファイル共有などはWindows7(Windows Media Player 12)をDLNA(Ver1.5)サーバ&クライアントとして利用してWindows7で一元管理していく方法です。
ただ、地デジなどの著作権保護付きコンテンツについては再生ができないはずですので、別途チューナカードに付属のDLNAサーバおよびクライアントソフトウェアを利用します。※XBOXのWindows Media Centerとは可能なはず
WHSで一元管理しなくなるので、Windows7マシンのバックアップおよび対ハードディスク障害への対応が必要ですが、マザーボードにオンボードのハードウェアRaid(Raid5またはRaid10)で対応すれば、WHSのときに比べオーバヘッドは発生するもののディスクアクセスがトータルでは高速になるはずです。

必要な物
・HDD2TB(既存WHSから移行を考えるとこれくらいの容量が新たに必要かも、ただ、WHSのHDDは単体でも使用できるはずなのでそのまま接続できれば不要になる)
・地デジ対応チューナーカード(DiXiM Media Serverソフト同梱必須、トランスコード録画対応必須)

メリット
・Windows 2003ベース(WindowsXP相当)から開放されWindows7(Media Player12)の機能が活用できる。
・Windows7対応製品を選択できるので今後追加されるであろう新機能が利用できる。(DLNA&DTCP-IP1.2対応プレイヤーソフトを選択できる)
・コンテナフォーマットやコーデックなどOS標準のものが利用できる?
・実際のフォルダ階層を無視してコンテンツの種類で一覧表示が可能になる

デメリット
・共有ファイルへのアクセス権の管理がWHSに比べ煩雑になりそう
・Windows7の共有機能をフルに使うには1台ではメリットが少なそう。
・Windows8が2012年くらいにはリリース予定であり従来と大きく変更になる可能性があるなか、VistaからWindows7へ乗り換える価値があるのか

4.仮想化ソフトを利用してメディアサーバと録画PCを構成する

仮想化ソフトウェアを利用して1台のPCに次期WHSと既存Vistaを導入しそれぞれメディアサーバと録画PCにする案です。
アナログ放送の録画では仮想化ソフトを利用してすでに運用されている方がいますが、次期WHSでどうなのか?といったところです。
ホストOSとゲストOSをどちらをどうするかでWHS本来の機能にも制限が出てくるでしょうしパフォーマンスにも影響しそうです。そのため仮想化ソフト側の設定も重要になりそうです。共有ディスクへの録画ができるのかこれから調査が必要です。おそらくDTCP1.2およびムーブ対応でないと保存はできても、録画PC以外からはストリーミング配信ができないと思います。
メディアサーバにWHSを利用することでファイルの一元管理が可能です。WHS本来の機能ではCPUリソースを消費しませんし、録画はチューナーカードのハードウェアトランスコードによりPC自体にはそれほど負荷はかからないと推測して1台でも可能ではないかと考えています。
トランスコードをしてストリーミング配信する場合はWHSのリソース不足が懸念されます。

必要な物
・HDD2TB(既存WHSから移行を考えるとこれくらいの容量が新たに必要)
・地デジ対応チューナーカード(DiXiM Media Serverソフト同梱必須、トランスコード録画対応必須)
※ライセンス的にチューナカードと別マシンにDiXiM Media Serverを導入すると問題かも
・次期WHSのVail(※現在はBeta版
・TVに接続するDTCP-IP対応のメディアプレイヤー(WHSまたはVistaで再生するなら不要、Vistaで再生するなら対応ソフトが必要であるがチューナカード付属ソフトで再生できるはず)
・仮想化ソフトウェア(※Vmware Serverなら無償

メリット
・Windows2008R2ベースなのでWindows7のドライバソフトが使用できれば新しい製品で構成できる。
・チューナ付属ソフト任せでなんとかなりそう。(DTCP-IP対応、DTCP-IPムーブ対応?、トランスコードでストリーミング配信可)
・既存HTPCのハードウェア構成のまま使用できそうまたは弱点補強程度で済みそう。
・今2台で行っていることを1台に集約できる

デメリット
・ホストOSとゲストOSをどちらにするかで結果に影響がありそうで仮想化ソフトの設定を決めるにも時間がかかりそう
・再生機(DTCP-IP対応DLNAプレイヤー機能)が別途必要になりそう。(HTPCに使用しているマザーはG35なので性能に不安有り)
・Vialはbeta版であるため、仕様が変わると試運転が無意味になる可能性あり。
・WHSの対障害機能が使えない恐れがありその代替が必要になる(Vmwareのスナップショットで対応できるはず?)

5.ブルーレイハードディスクレコーダで対応する

WHSはそのままで地デジ放送の録画番組だけを別途ブルーレイ&DVDレコーダ(HDD内蔵、トランスコーダチップ内蔵、ダブルチューナ内蔵)に保存する案です。
TVとおなじパナソニック製にすれば操作性はUPしますが、DLNA機能に関しては他社より遅れている感がしますのでTV以外で再生する場合にはいろいろと問題がでそうです。録画モードによってはストリーミング配信できないなどの制限も考えられます。また、3番と同じくこれまでの「ファイルはすべてWHSで一元管理する」という方向性からはずれることになり、少し戸惑う選択肢です。

必要な物
・ブルーレイ(HDD内蔵、トランスコーダチップ内蔵、ダブルチューナ内蔵、DLNAサーバ製品)
・DLNAクライアント(DTCP-IP対応、※PCで再生する場合

メリット
・操作性
・安定性

デメリット
・割高感がある
・拡張性がない
・ブルーレイメディアの管理が必要になる。
・ブルーレイメディアを使用するにはCPRM対応でないと再生できない場合がある
・録画したデータとその他ファイルで別管理になる。

以上、もっとも楽なのは5番ですが、チャレンジしたいのは4番です。理想は2番でしょうか

Windows7は標準でDTCP-IPに対応していませんので別途DTCP-IP対応製品の導入が必要です。しかしこれは自作PCでの場合であり、パソコンメーカー製PCの場合は、自社TVやレコーダとの接続のためDTCP-IP対応ソフトをプリインストールしている(別途メーカが導入している)可能性があります。
またWindows Vistaの場合は標準で地デジ対応をしていませんが、これも自作PCでの場合であり、マイクロソフトからリリースされている「Windows Media TV Pack」によりWindows Medai Centerで地デジの視聴と録画が可能になっています。このソフトは単体では販売されておらず、パソコンメーカ製PCにOEMで提供されています。そのためパソコンメーカ製PCを使用されている方は「Windows Media TV Pack」により地デジの録画と視聴が可能になっている場合があります。もちろんこれとDTCP-IP対応は別の話ですので、Vistaの場合もWindows7と同様、パソコンメーカー製PCであればDTCP-IP対応ソフトをプリインストールしている(別途メーカが導入している)可能性はあります。
パソコンメーカー製PCをお使いの方は、確認してみてください。

各製品がDLNA認定されているのか?DLNAのどのバージョンなのか?DMPなのかDMSなのか?などを調べたい方は以下をご覧ください。

(例)パナソニック社製ブルーレイレコーダ(型式DMR-BW890)の場合で説明します。

①http://www.dlna.org/productsにアクセスします。

②検索条件の入力を行います。
・Manufacturerの一覧の「Panasonic」をチェックします。
・Product Nameの空欄に「Blu-ray Disk Recorder」と入力します。
※Year Certifiedがわかるのであればその年を指定したほうが検索結果を絞り込めます。

③「UPDATE SEARCH」ボタンをクリックします。
右側の画面に検索結果の製品一覧が表示されます。

④製品形式の選択をします。
・Product Resultの一覧から「DMR-BW890」を見つけ、チェックを入れます。
・ほかにも確認したければチェックをいれます。

⑤「VIEW CERTIFICATION RESULTS」ボタンをクリックします。
Your Certification Results画面が表示されます。
・Product Detailsの項目でDMP、DMS機能の有無などがわかります。⑥番で詳細がわかります。


⑥青字の「View Certificate」をクリックします。
DLNA Test Certificate画面が表示されます。これが「DMR-BW890」の結果です。
この画面でDLNAのバージョン、DLNAデバイスクラス、Media Classがわかります。

PS3の場合は、検索条件でGame Consoleにチェックをいれるだけで、一覧にでます。
PS3だと2モデル表示されそれぞれDLNAバージョンが異なることがわかります。

お持ちの機器、これから購入する機器の情報収集の参考になると思います。

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この記事を書いた人

大阪府門真市に生まれ、高校卒業まで京都府福知山市で育ち、大学は工学部電子工学科を卒業。半導体設計会社に勤務ののちインフラエンジニアとして監視基盤の運用設計業務に就く。現在は都内の施設に勤務。横浜在住。人の役に立てることができればいいなと日々思っています。

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