ホームネットワークでの共有

家庭内LANに接続したメディアプレイヤなどの再生機器(ハードウェア)またはソフトウェアで再生する場合に考慮する点をまとめてみました。

目次

家庭内で共有する方法を技術により分類

※ここではネットワークを利用した共有に限定しています。リムーバブルデバイスを利用した方法は含みません。

(1)ファイル共有

Windows標準のファイル共有を使用するもの。サーバクライアント間でファイルを共有する。

NAS製品はOSがLinux、ファイルサーバにSambaを導入し、Windowsファイル共有だけでなくMacOSやLinuxとの異種OS間のファイル共有を実現しているケースがほとんどです。

(2)UPnPベースの共有

UPnPで機器を発見し、HTTPプロトコルでデータを転送するものです。

DLNA(Digital Living Network Alliance)

UPnPベースで異メーカー間の機器の相互接続を容易にすることを目標として業界標準のガイドラインを策定。著作権管理技術はDTCP-IPを必須。デジオン社が開発したPC用ソフトウェアであるDiXiM(ディクシム)が有名でDLNAに準拠しDTCP-IPに対応した製品もあります。最近では各家電メーカ製のハードディスクレコーダで採用されていたりしますが、メーカ間での機器接続を個別に保証しているケースはまれです。DLNAは規格ではなくあくまでガイドラインなので仕方ないともいえます。

Plays For Sure

マイクロソフト社がDLNAをベースに提唱。Windows Media Connect技術によりWindows Media Center、Windows Media PlayerやX-BOXで メディアの共有を実現。著作権管理技術は、Windows Media DRM。モニタとPCをデジタル端子で接続した場合、レンタルビデオのDVDをWindows Media CenterやWindows Media Playerで再生すると著作権情報のデコードにまれに失敗して再生が中断することがありました。DLNAをベースにしているようですがサポートするメディアのファイル形式はWindows Media フォーマットとよばれ、マイクロソフト色がつよいです。DLNA製品との接続は完全互換ではないようです。現時点ではDTCP-IP未対応。Windows 7も従来OSと同じくDTCP-IP未対応です。

ViiV

インテル社がDLNAをベースに提唱し、インテルが家庭内用途で利用するPCでネットワークおよびマルチメディア性能を実現するにふさわしいことを示すブランド名のようなもの。ViiVロゴがあれば、インテルの提唱する対応サービスを利用できることを意味します。CPUやチップセットなどPCパーツが主に対象です。

(3)メーカ独自の共有

Bonjour

アップル社が提唱したゼロコンフィグレーション「Zeroconf」をベースにしたもので「何の設定も行わず機器を使用可能にする」技術。Bonjourネットワークを形成する。DLNAなどとは互換性はありません。MacOS標準でありi-Tuneやi-podなどアップル社製品で共有が可能。

他にもありますが主にこれらでメディアを共有することになります。

この中でもストリーミング配信できるものや著作権保護付メディアの再生ができるものとそうでないものがあります。

地デジ化により、TV放送がデジタル化になると、「著作権保護付メディアの再生をどうするか?」が問題になります。

※編集などもできないので、再生というよりは再利用といったほうが良いかもしれません。

デジタル放送の録画に関しては、安全性を重要視したために利便性が失われています。ただ、最近になって利便性をよくしようとする方向に向かいつつあるので、地デジ化に完全移行する2011年7月までに大きく変わる可能性もあります。これからという人は、動向を探りながらぎりぎりまで待ってベストなものを購入するのもありです。

「著作権保護付メディアファイル」については、「PCでデジタル放送を録画」で触れたいと思います。


共有する機器間での分類


これについては、作成した動画ファイルを配置する機器(サーバ側)と動画ファイルを再生する機器(クライアント側)が何かで選択肢が変わってきます。

また、サーバ側でどのようにメディアを管理するかメディアサーバに用いるソフトウェアを何にするかでも変わってきます。

Windows OS 搭載PC間


サーバ側もクライアント側もWindows OS搭載のPCの場合です。

TVに接続したPCであればTVで動画の視聴が可能になります。

①ファイル共有


メディアの管理は単純にファイルブラウザで行うだけならばWindowsファイル共有で実現できます。OS標準機能なので特にソフトウェアは必要としません。

ただし、ストリーミング配信ではありません。再生できるのはクライアント側で使用する再生用ソフトウェアの制限次第です。

②Windows Media Connect


サポートしているファイル形式などに制限があり共有できるのは対応メディアファイルだけになります。ストリーミング配信ですが、トランスコードはできないはずですので注意してください。

(2)Windows OS以外を搭載する機器間


これはハードディスクレコーダとNASといったような場合、実現するのはDLNA機能を使うしかないように思います。

ごくまれにWindows ファイル共有が使用できる場合もあります。

DLNA機能を使う場合は、後に記載してあるDMSとDMPがそれぞれどちらかにあれば再生は可能です。

DMSが保存したコンテンツを送信する機能、DMPがコンテンツを再生する機能です。

※MacOS搭載PCであればBonjourで共有できます。

(3)Windows OS搭載PCとゲーム機器間


ゲーム機器というとPS3、X-BOX、Wiiなどが有名です。

これらゲーム機器を再生機として利用することで、TV画面で視聴ができます。

リビングPCの代わりにゲーム機を代用する場合などがあると思います。

①PS3(ソニーCEI)


Windows Media Connectに対応しているのでメディアファイルの制限はありますが、共有可能です。

PS3向けのPS3 Media ServerをPCに導入すれば、DLNAクライアントとしてPS3を利用できます。トランスコードにも対応しているようですので便利だと思います。

サーバが発見できないなど接続の問題が多少あるようです。

②X-BOX(マイクロソフト)


Windows Media Connectで共有する事が可能です。

プレイヤにはMedia CenterまたはWindows Media Playerを使用すると思います。

Windows Media ExtenderをPCに導入すればX-BOX上のメディアをPC上のWindows Media Centerで再生できます。

③Wii(任天堂)


WiiMCという多機能プレイヤーでSDカードやDVDなどの再生は可能ですが、ネットワーク経由ではWEBコンテンツを再生できる程度です。

DLNAの機能があるかは不明です。

無線接続にしてもニンテンドー WiFiなど紛らわしい表現があるので仮にDLNA対応と謳っていてもあてにできません。

HomeTheater用PCの代替にゲーム機をこれから購入するのであれば、マルチメディア関連の標準仕様に準拠している点が多いということでPS3がお勧めだと思います。

(4)WindowsOS搭載PCとその他携帯端末間


PCをメディアサーバとして利用し、携帯電話、PSP、i-Pod、i-Pad、DSなどで再生するケースです。

サーバ側がストリーミング配信でなおかつトランスコード機能があればわざわざ再生機器専用のメディアファイルに変換する必要はなさそうです。

①携帯電話(Docomo、au、SoftBank)


携帯電話も最近ではWiFi接続をサポートしている機種もありそういった機種ではDLNA対応の製品もあります。

携帯電話で再生できるメディア形式に変換しないと再生はできません。

②PSP(ソニーCEI)


PS3をクライアントして待機させ、PSPをリモートプレイ用に使用することで外出先からも再生できます。

DLNAの機能が使われています。

③iPhone、iPod、iPad(アップル)


PCにiTuneを導入していればBonjourで共有できます。

DLNAクライアントアプリを導入すれば、DLNA機能で共有できます。

Webサーバを導入してHTTPプロトコルで共有することも可能なようです。

④DS(任天堂)


DLNAクライアント機能はおそらくないのでWEBコンテンツの動画再生ができるか?程度だと思います。



メディアの管理方法による分類



作成した動画をサーバ側で管理する方法での分類です。

動画だけでなく、写真などの画像や音楽なども管理することを考慮しています。

※著作権保護付のコンテンツについては除外していますので別途考慮してください。

(1)ファイルブラウザ



他のファイルと同様、フォルダによる分類だけの場合です。

(2)ネットワークメディアプレイヤ



WindowsOSであれば「Windows Media Player」や「Windows Media Center」がOS標準で利用できす。

※Windows Media Centerは例外あり

それらのネットワーク機能を利用して共有できます。メディアの管理機能もあるので実際のフォルダ階層を意識しなくても一覧表はカテゴリ別などで分類表示できます。

※Windows OSのバージョンによってWindows Media PlayerおよびWindows Media Centerのバージョンも異なり、できる事も異なりますので注意してください。


MP4形式のサポートはWindows7のみのはずです。ちなみにWindows 7は、Windows Media Player 12です。

マイクロソフト社以外のもでは、アップル社のi-Tuneがあります。

i-Tuneはフリーソフトなので別途導入するだけで最新版が利用できます。

管理にはライブラリを用いていますが、そのライブラリを個別に管理することも一元管理する事も可能です。

以上はソフトウェアですが、ハードウェアではアイオーデータ社、バッファロー社やプリンストンテクノロジー社などから販売されています。

この場合、Windowsファイル共有機能、MediaConnect機能、DLNAクライアント機能のすべてもしくはどれかをサポートしています。

別途PCに導入して利用するようにDLNAサーバ製品などがバンドルされている製品もあります。

(3)DLNAサーバ製品



ソフトウェアでは、PC用ソフトウェアであるDiXiM(ディクシム)が有名です。当社のソフトウェアがメーカ製ハードディスクレコーダ、メディアプレイヤーやNAS製品に導入されていることもあるくらいです。PCにDLNAサーバソフトウェアを導入すればDLNAサーバとして機能します。クライアント側(再生側)には後に説明するDMP機能が最低でも必要になります。

ハードウェアではTV、ハードディスクレコーダ、NASサーバやゲーム機など様々なネットワーク接続機器でDLNAサーバ機能を搭載している場合があります。

※製品によってはクライアント機能のみの場合あり

DLNA製品に関してはサーバとクライアントで分類するのは正確ではありません。

実際に機能で分類すると以下の①から⑨になります。

①DMS(デジタルメディアサーバ機能):コンテンツを保存(蓄積)し他のDLNA機器に送信することが可能

②DMP(デジタルメディアプレイヤ機能):ネットワーク上のDLNA機器に保存されているコンテンツを検索(表示)して再生する事が可能

③DMA(デジタルメディアアダプタ機能):セットトップボックスのように接続する事でホームネットワーク機能をその機器に追加する事が可能

④DMC(デジタルメディアコントローラ機能):別のDLNA機器のコンテンツをあたかもその機器のリモコンを操作するかのようにコントロールする事が可能

⑤DMR(デジタルメディアレンダラ機能):DMCを操作してDMSに保存されているコンテンツをDMPで再生する事が可能

⑥DMPr(デジタルメディアプリンタ機能):ネットワーク上の他のDLNA認定機器に印刷機能を提供します

⑦M-DMS(モバイルデジタルメディアサーバ機能):モバイル機器用のデジタルメディアサーバ

⑧M-DMP(モバイルデジタルメディアプレイヤ機能):モバイル機器用のデジタルメディアプレイヤ

⑨M-DMC(モバイルデジタルメディアコントローラ機能):モバイル機器用のデジタルメディアコントローラ



どの機器にどの機能を搭載するかはメーカ次第です。

DLNAサーバ製品といっても、DMSのみであったりDMS+DMC+DMRであったり様々です。

※過去にDLNA対応のメディアプレイヤー(ハードウェア)を使用したときの話ですが、コンテンツの数が増えてくるとコンテンツの一覧表示の時間が数分かかったりする場合がありました。これは一覧の階層を移動するたびに時間を要し実用できる状態ではありませんでした。原因は一覧表示するインデックスをもっていないため、アクセスがあるたびに表示用の一覧を作成し送信していたためそれに時間がかかっていたようです。現在では修正されているとは思いますが、修正されているのを自分で確認したわけではありませんのでとりあえず気にはしておいてください。

DLNAにもバージョンがありますので、バージョンによってできることが変わってきます。

以上、ホームネットワークでメディアを共有する方法について記載しました。

まとめると、まずメディアを何で管理するか、そしてサーバ側とクライアント側が何であるかを決めてそれぞれで問題なく利用できる方法を考える必要があります。

さらに、機器ごとに動画ファイルとして再生できるファイル形式やコーデック、ビットレート、画像サイズ、ファイルサイズなども異なるのでそれについても調査が必要になります。

そういう場合に機器ごとの動画ファイルを作成するのは面倒であり管理が煩雑になりますので、トランスコード対応のストリーミング配信が可能な機器もしくはソフトウェアをサーバ側とクライアント側に準備できればさらに便利になります。

その実現方法のひとつが、DLNA認定ロゴ取得のDiXiM(ディクシム)シリーズのサーバおよびクライアントソフトウェア製品です。

※有償のソフトウェアになります。

どこまで利便性を考慮するか、この先の地デジ化を考慮するか否かで選択は変わってきます。

私の場合は、動画ファイルはWindows Home Serverのファイル共有で管理および共有しています。クライアント側はWindows Media Centerで再生しています。

音楽ファイルはPCでしか再生することがないので、使いやすさでi-Tuneで管理および共有をしています。

地デジ化による影響で、現在アナログ番組を録画しているのをデジタル番組録画に移行しなければなりませんが、それに関しては検討中です。

※DLNAはあくまでガイドラインです。製品使用に「対応」や「準拠」などと表現があっても100%接続を保証するものではありません。その点、DLNA認定ロゴがある製品は信用できますがそれでも他社メーカ製品間での接続には確実にできる事を確認してから購入してください。多くの製品が他社製品との接続はサポート対象外にしてるケースが多いようです。

参考サイト




DLNA公式(日本語)




DLNAメンバー企業(英語)

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この記事を書いた人

大阪府門真市に生まれ、高校卒業まで京都府福知山市で育ち、大学は工学部電子工学科を卒業。半導体設計会社に勤務ののちインフラエンジニアとして監視基盤の運用設計業務に就く。現在は都内の施設に勤務。横浜在住。人の役に立てることができればいいなと日々思っています。

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