ここでは、インターネット上で公開する場合の話です。
どのようなサービスを利用するかは、サービス内容や仕様で判断すると思いますが、そこでの制限は、動画編集の際のファイル出力設定やエンコード作業時のエンコードオプションで指定する設定値に影響します。
利用するサービスを決める事は作成する動画の仕様をきめることでもあります。
作成した動画ファイルをインターネット上の人々に観てもらうには、動画ファイルをインターネットからアクセスできるディスクスペース(保管場所)に配置しなければなりません。
その方法にはいろいろありますが、一般的には、ホスティングサービスか自宅サーバを利用することになります。
回線、サーバ性能、運用工数、セキュリティ対策などを考慮すると自宅サーバはお勧めできません。
ここではホスティングサービスの以下3タイプについての話になります。
- サーバホスティング
- ファイルホスティング
- ビデオホスティング
※無料サービスの場合は、まれに自宅サーバを利用しているケースもありますので注意してください。
※大学など研究を目的とした期間限定で無料のものもあります。
動画ファイルをアップロードする先として利用できるホスティングサービスをタイプ別で記載します。
どのタイプを選択するかで公開方法も若干異なりますので、自分にあったタイプをご利用ください。
※当初、各サイトの比較を行うことを考えていましたが、日々内容が変わりますので逐次検索サイトなどで新しい情報を調査してください。
サーバ・ホスティング
レンタルサーバとも言われていますが、1台のサーバを利用者ごとにクォートなどで仕切って共用するタイプです。
ドメインサーバ、メールサーバ、Webサーバ、FTPサーバやデータベースなど事前に導入されているものの利用が可能です。
また、CGI、Perl、PHP、JAVAなどの言語も利用できます。
その他、最近では独自ドメインの取得が可能です。
ビジネスユースから個人ユースまでいろいろあります。
自由度が高いですが、有料であるところがほとんどです。
サーバ機種、利用可能なディスクスペース量や機能によって料金体系が異なります。
月額利用料以外に初期設定料などがかかる場合がありますので注意してください。
利用期間は、1年ごとに契約を更新するタイプが多いようです。
無料のところは、使いっぱなしで放置されてしまわないように一定期間管理メニューにアクセスがないと自動的に削除する。といったサイトもあります。
制限
利用上の規約が制限になります。申し込み時には約款や利用規約をよく読んでから申し込むようにしてください。
お勧めサイト
動画の公開だけのためにこのサービスを利用する事はお勧めしません。
私が利用したことのあるものを紹介するだけにしておきます。
さくらインターネット、ロリポップ、XREA
※XREAやロリポップは、ブログ用に利用していました。容量が少ないので動画のアップロード先には向きません。
※さくらインターネットで私が契約しているサービスでは、動画のストリーミングサービスの運用を禁止しています。
興味あるかたは、「レンタルサーバ」で検索してください。
ブログでの公開方法
このタイプを利用する場合は、最低Webサーバーの設定が必要ですが、この後説明する(2),(3)のタイプを自分で構成することもできます。
ただし、(3)のようなストリーミングサーバの構築は、各制限によりハードルが高い様に思いますので、Webサーバによる擬似ストリーミングが簡単でお勧めです。
TOPにある動画は、この方法で公開しています。
サンプル
①ダウンロード方式
※FTPクライアントで接続してください。
現在契約しているさくらインターネットのコースでは、FTPサービスは利用できませんでした。
ごめんなさい。
ただし、HTTPプロトコルでファイル転送ができますので、WEBサーバのMIME設定を考慮し、たとえば、拡張子を.zip(ZIP形式)にすればダウンロードできます。
ダウンロード後に.zipの部分を削除してから再生すればOKです。
(例)test.mp4をtest.mp4.zipにリネームしてWEBサーバ上に配置、ダウンロード後にtest.mp4にリネームしてもらい再生。
20080504_giran.mp4.zip
※必ず「保存」を選択してください。
②直接リンクによる方法
※QuickTimeで再生すると思います。
※再生できるかどうかはWEBサーバのMIME設定やブラウザ設定に左右されます。
③エンベッド式★MP4(H.264/AVC+HE-AACV2)★※お勧め
※JW FLV Playerを埋め込んでいます。擬似ストリーミング方式です。
※ブラウザにAdobe Flash Player用のActiveXコントロール(IEの場合)もしくはプラグイン(IE以外の場合)が必要になります。
④エンベッド式★ASF(WMV9+WMA9)★
※Windows Media Playerを埋め込んでいます。擬似ストリーミング方式です。
※ブラウザにMicrosoft Windows Player用のActiveXコントロール(IEの場合)もしくはプラグイン(IE以外の場合)が必要になります。
※この方法でもよいのですが、WMVの場合はSilverlightを使うことを推奨します。
ファイル・ホスティング
オンラインストレージサービスとも言われます。
サーバの空きディスクスペースを貸し出すタイプです。
ファイル共有、リムーバブルメディアの代替、バックアップデータの保存先、プログラムソースやバイナリの配布用などに利用します。
昔からあるサービスで、当時はメールに添付できないサイズのファイルを送る為に利用していた時期もあります。
レンタルサーバよりは無料のサイトが多く存在しますが、それぞれ用途に応じて選ぶようです。
動画のアップロード先として利用するのであれば、大容量であればあるほど便利です。
ただ、1セッションあたりのトラフィック量を制限しているサイトもあるようですのでサイト選びには注意が必要です。
一般的にWebサービスとFTPサービスを利用しているのでWebブラウザからの操作だけでOKですが、中には専用ソフトを導入しないとアップロードやダウンロードができないケースがあります。
利用可能ディスクスペースが無制限のケースでは、保存期間に制限があったり、1日のアップロード/ダウンロード回数に制限があったりします。
ディスクスペースに制限があるケースでは、1回のファイルサイズに制限があったりファイル形式の制限があったりしますので、それら制限を把握したうえで都合の良いサービスを選択してください。
その他、アクセス制御により友人のみ、インターネット上すべて(Guest)など設定が可能なサイトもあります。
これら制限は、他社と比較できないようにしている意図がみえ非常に分かり辛いので慎重にサービス内容をチェックしてください。
無料のサイトが多いのでダメなら他で良いかも知れません。
制限
何かしらの制限は必ずあります。
契約内容やFAQなどをよく読んでから判断しください。
お勧めサイト
filebank、Skydrive
ブログでの公開方法
このタイプを利用する場合は、ブログにダウンロード方法などのサーバ情報などを記載し、各自でダウンロード後に再生してもらうことになります。
そのため、動画ファイルを作成する際は、ファイルサイズを気にする程度ですみますが、再生するPC上でも同じ再生環境(コーデックなど)が必要になりますので、その点は考慮するようにしてください。
まれにファイルタイプによる制限もあるので注意が必要です。
デメリット
コンテンツ(動画ファイル)が各自のPCにダウンロードされるので、その一部なりすべてを再利用される危険性が高くなります。
悪意のある人は、偽装や改変などの加工をして他の動画サイトへ公開してしまうかもしれません。
※厳密には、ストリーミング配信でもコンテンツを録画すればコピーできてしまいますので、ここでは簡単にという意味合いです。
サンプル
①ダウンロードによる方法※一択になります
※skydriveですべてに公開
ギラン戦 2008.05.04
ダウンロード先URL:https://cid-26f586a75eefd464.skydrive.live.com/self.aspx/%e5%85%ac%e9%96%8b/20080504%7C_giran.mp4
ユーザID:不要
パスワード:不要
※skydriveは、マイクロソフトの無料サービスです。2009.1.26日現在、アップロードできるファイルサイズは、1ファイル50MBまでですが、総容量25GBまで利用可能です。
ビデオ・ホスティング※お勧め
動画共有サービスとも言います。
いわゆるソーシャルネットワーキングサービスの一部で、ブログ機能やメッセージ機能なども一緒に提供しているサイトが多いです。
ソーシャルネットワーキングサービスで有名なmixiでも現在では動画の公開が可能になっています。
ただ、そのサイトが動画共有からはじめたかブログサービスなど他のサービスからはじめたかで、動画に関するサービスの内容に大差があります。
ファイル・ホスティングサービスと異なるのは、動画に特化している点です。
著作権やサーバ性能・回線速度など動画特有の問題にも対応しているべきです。
多くの人がオンラインで動画を再生しても大丈夫なように、事前にハードウェアを強化するなりして対処しているはずなので、このタイプを利用することをお勧めします。
ただし、この「多くの人が動画を再生しても大丈夫なように」についての対応は、各サイト様々です。
結局のところは、そのサイト運営側のアプローチやポリシーに左右されると思います。
一般的には、動画をアップロード後、サーバ側で特定の形式へ変換(再エンコード)しています。
アップロード後、再生が可能になるまで時間がかかるのは、この変換処理時間のためです。
この再エンコードの際、ビットレートや画像サイズなどもサイト規定の値に変えられてしまいます。
最近では、高画質対応ということで再エンコードなしで動画をアップロードできるサイトもあります。
これは、ストリーミングサーバに利用されているAdobe Flash Media ServerがH264対応になったことが大きな理由です。
一般に、ファイルフォーマット、ファイルサイズ、ビットレート(映像、音声)、コーデック(映像、音声)、フレームレート、映像サイズ、アスペクト比などが規定されています。
ストリーミングサーバを利用すれば、PCのローカルディスク上にコンテンツをダウンロードしなくなり著作権保護にも効果があります。
ただ、すべてのサイトがストリーミングサーバを利用しているとは限りません。
先に書いたように、Webサービスで擬似ストリーミング配信が可能です。ネットワークの帯域制限もWebサーバのチューニングにより不可能ではありません。
このタイプの場合は、圧倒的に無料のサイトが多いです。
サイト運営側は、広告収入などで設備、人件費などの運用コストを捻出しています。
利用者が多くなれば設備投資費が増えますが、これに比例して広告収入が増えるのか?
は疑問があります。いろいろサイト運営側は、知恵を絞っていると思います。
実際どうやってるのかはさておき、生き残っていくサイトとそうでないサイトがあります。なので、生き残りをかけもっとも激しく競争が行われ、状況が日々変化しているといえます。
最近では、同一サイト内でサービス内容を差別化して、無料サービスと有料サービスが選択できるようです。
以下に、国内と海外の動画共有サイトをあげます。
国内サイト
・ニコニコ動画
・zoome ※2011.08.31 サービス終了
・eyeVio
・AmebaVision
などなど多数
海外サイト
・Youtube
・wuapi
・stageHD
・Veoh
・Vreel
・Stagevu
海外サイトではstage6が人気でしたが、サイト閉鎖後は、Veohが人気があるようです。
ただし、著作権問題への対応としてアップロード時にチェックがかかりますので、なんでもかんでもアップロードできません。
私が作成した動画もダメです。
他ではVreelへの期待が高いのですが、いまだにベータ版で開発が遅れている様子です。
その他サイトもHD品質の動画をアップロードできますが、やはり再生に耐え難い状況であります。
stage6全盛期には、国内で無料の動画共有サイトはまだまだ少なかったので気付きませんでしたが、閉鎖後に国内のzoomeを利用してからは、海外のサイトが如何に遅いかが分かりました。
現状では、特に理由がない限り国内サイトがお勧めです。
ただし、上にあげたeyeVioは、ビデオカメラで撮影したホームビデオの動画を公開するところ、といったイメージが強いです。
eyeVio(アイビオ)は運営がソニーからスプラシアに変更になり、ソニー製品との連携機能が廃止されています。(2009.04.16)
以下2点がサイト選びで重要なポイントになると思います。
- 著作権問題への対応方法
- 高画質動画への対応状況
制限
何かしらの制限は必ずあります。
契約内容やFAQなどをよく読んでから判断しください。
お勧めサイト
zoome(ズーミー)
※2010.08.20現在、zoome+という有料サービスが主になっているようです。無料登録ユーザでは動画投稿はテスト投稿扱いで1日後に削除とありますが消えていませんので、実際どこまでできるのかよくわかりません。おそらく以前のままだと思います。またHD画質対応になってサーバ負荷分散のためのBitTorrent DNA クライアントの導入がHD画質再生では推奨されていましたが、2010.04.01に利用を停止したようです。この手のP2Pソフトを導入するのは正直、気持ち悪いのでzoomeを使わなくなったわけですが、久々にサービス内容を確認するとポイントの話ばかりでちょっとがっかりです。zoome+有料サービスでないと動画の投稿ができない。といった内容に解釈してしまいそうです。
※2011.08.31をもってサービス終了のアナウンスがありました。
eyeVIO(アイビオ)※国内
試しにユーザ登録をしてみました。以前のようなソニー色が消えたのはよいのかわるいのか判断に困りますが、SD画質、携帯端末、HD画質、ダウンロード用に変換されます。
ここでの変換がどういうものなのかは不明ですが、これによりPC以外にiPod、PS3、TVのアクトビラなどから再生できるようです。
HD画質でアップロード可能なサービス(HD Pro)は別途申請または紹介により利用可能です。
細かいところでは、YouTubeと同じくRSSが画像付きで配信されます。外部ブログで利用するには便利だと思います。
気になる点は、左上のアイコンにbetaの文字があることです。
Youtube(ユーチューブ)※海外
※個人的には「ゆうつべ」と呼ぶのが好みですが、あと「ようつべ」と呼ぶ人もいます。これらを文字ったアダルトサイトが表示される可能性があります。
Linuxの場合は、開発者は好きなように読んでくださいといっていました。ので「ライナックス」と呼んでましたが、大多数が「リナックス」と呼ぶため、「ライナックス」というと通じないので今では「リナックス」というようにしていますが英語読みの「リヌックス」と呼ぶのがより多くの人に伝わると思います。YouTubeの場合は「ユーチューブ」と呼ぶのが正式なのでしょうきっと。
ブログでの公開方法
このタイプの場合、動画共有サイトのコンテンツへのリンクを貼り付け、リンク先で再生する方法とブログにエンベッド式で埋め込んで、ブログ上で再生する方法が可能です。
※ただし、Veohの長編再生時の様に専用プレーヤーが必要な場合はこの限りではありません。
サンプル
※zoomeのサービス終了にともない、eyeVIOの例に修正しました。
①リンク方式(テキスト文字ボタン)
テスト動画
②リンク方式(画像ボタン)
③インラインフレーム方式
※②の方法より派手になります。
※iframeタグを埋め込む方式ですが、フレーム内に埋め込まれたスクリプトによりPlayerが生成され表示される場合とhtmlタグのみで構成しリンクボタンからサイトを表示して行う場合などいろいろです。
④エンベッド方式※お勧め
※objectタグを使ってPlayerを埋め込んでいます。
※その他、javascriptでの方法もありますが動画共有サイトとブログサイトのサポート状況で選択できる方式が決まります。
※eyeVIOがサポートしているブログへ掲載するのであれば、直接コードを埋め込む必要はありません。
(サポートしているのは、PLAYLOG、So-netブログ、livedoorブログのようです。)
※iframeやjavascriptの場合、脆弱性を悪用された事例があるため、閲覧者のPCのセキュリティソフトやブラウザのセキュリティ機能が反応して表示ができないケースが考えられます。
2019年12月19日追記
特別な理由がなければYoutubeでよさそうです。
以上、いろいろ長文を書きましたが、どのタイプのどのサイトに動画をアップロードするのかで、動画作成に関する仕様が決まります。
せっかくエンコードに時間をかけて作成した動画も、アップロードできなかったり、アップロードした際に再エンコードされてしまっては意味がありません。