Windows10のバックアップ機能
OS標準のバックアップ機能には以下のようにいろいろとあります。
- システムの保護
- ファイル履歴
- バックアップと復元(Windows7)
- システムイメージの作成
それぞれどういったケースで役に立つのかを調査してみました。
また、万が一に備えてバックアップをとるわけですが、肝心なときにそのバックアップが使えないことほど無駄なことはありません。
それぞれのバックアップで実際にもとにもどるのか?使えるのかを事前に試してみることにしました。
記憶域の再構成
まず、バックアップを実際に行う前に記憶域にバックアップ用の仮想ディスクを作成しました。
今後、このバックアップ用仮想ディスクに可能な限りすべてのバックアップデータを保存するようにします。
現在利用している記憶域はパリティ構成で1つの仮想ディスクだけです。
これにバックアップデータ用の仮想ディスクを作成するために、一旦、記憶域プールを削除しました。
※記憶域プールの削除=データの削除を意味します。既存データが消えて困る場合は別のディスクなどに一時的に移動させておいてください。
※Windows10で記憶域を作成するとそれ以前のOSでは記憶域を認識できなくなりますので注意してください。
新たに作成した記憶域プール
記憶域プール | 仮想ディスク | プロビショニング | 回復性 | 列の数 | コピー数 | ディスク障害許容数 |
---|---|---|---|---|---|---|
データ用ディスク | MISC | 仮想 | 双方向 | 1 | 2 | 1 |
バックアップ用ディスク | 仮想 | シンプル | 1 | 1 | 0 |
回復性が双方向の構成での注意点は、ディスク容量が不足した時に何台のドライブを増設しないといけないか?という点です。
必要物理ディスク数は【列数】×【コピー数】で求まりますので、仮想ディスクMISCの領域が不足すると2台の物理ディスクを接続しないと使用可能容量は増加しないということになります。
システムの保護
バックアップ用途
Windows2000以前からある機能だと思いますが、名前はそのままで細部の仕様、操作は変更になっていると思います。
システムに影響する変更をする前に復元ポイントを作成し、不都合があったら変更前に作成した復元ポイントに戻せるという非常に便利な機能です。
自動で作成してくれたりもしますし、Windows Updateやアプリのインストール前に作成してくれる場合もありますし、手動で作成することも可能です。
システムの保護を有効にしたドライブは「シャドーコピー」が実行されるようになり、「以前のバージョンに復元」ができるようになります。
復元ポイントの保存先
復元ポイントはシステムの保護を有効にしたドライブのSystem Volume Informationフォルダー以下に保存されます。
しかし、このフォルダーは特殊属性および権限に設定されていますので、通常、エクスプローラーからは表示できませんしアクセスもできません。
表示させアクセスすることは不可能ではありませんが、直接操作するものではありませんのでやめたほうが良いと思います。
すでに作成されている復元ポイントの一覧を確認するのであれば復元から一覧を表示可能ですし、削除ですべてを削除できます。
「システムの復元」で保護を有効にしたドライブが復元ポイント作成の対象になります。
※復元ポイントに含まれるのはシステムに関連するものとそのドライブ上のファイルのシャドーコピーです。(自動作成の場合のみ)
構成
システムの保護に関する設定変更を行います。
有効・無効以外にシステムの保護で利用できる最大ディスク容量を設定します。
設定値はスライダーを移動させて%で設定します。
最大ディスク容量を超えない範囲で復元ポイントの世代管理が行われます(古いものから削除)。
(例)Cドライブのディスク容量(223.02GB)の4%(10GB)
※スライダーでの操作では容量を10GBといったようには指定できません。(現在の設定は私の環境での初期値です)
スライダーを100%まで移動させればそのドライブのディスク容量が確認できます。
有効から無効に変更すると既存の復元ポイントはすべて削除されます。
削除ボタンと何が違うのかは不明ですが、恐らく、削除だけのために無効⇒有効にする操作だと有効にし忘れた場合のリスクを考慮して削除だけをするボタンを付けたのかと推測します。
以下はCドライブのシステムの保護を有効から無効に変更にしようとした際のメッセージです。
自動で復元ポイントを作成
システムの保護を有効にしたディスクドライブのみ、タスクスケジューラに登録されている条件によって自動で復元ポイントが作成されます。
自動で復元ポイントが作成されるとシステムの復元ポイントとディスクドライブ上のファイルのシャドーコピーが作成されます。
タスクスケジューラのタスク名「MicrosoftWindowsSystemRestoreSR」によって、自動で作成しています。
このタスクの実行条件は、単純ではありませんが、最低でもおおよそ1週間に1回の間隔でシステムの復元ポイントとそのディスクドライブのシャドーコピーが作成されるようになっています。
タスクスケジューラによって自動で作成された復元ポイントは説明欄が「自動復元ポイント」、種類が「システム」と記載されます。
シャドーコピー
説明欄が「自動復元ポイント」の復元ポイントでは、ファイルのシャドーコピー(スナップショット)も一緒に
作成されます。
このシャドーコピーにより、ファイルやフォルダのプロパティメニューにある「以前のバージョンに復元」によって、ファイル単位で復元が可能です。
「以前のバージョンに復元」で表示される一覧は、「自動復元ポイント」と「ファイル履歴」によってバックアップが作成されたタイミングのものです。
作成
復元ポイントの作成を手動で行う方法です。
復元ポイントは構成で設定した最大使用量を超えない範囲で複数の復元ポイントが保存されていますので、いつどのタイミングで作成したのかを分かりやすくするためにコメント(メモ)を入力できます。
あとは作成をクリックすれば復元ポイントの作成が開始されます。
イメージバックアップに比べて短時間で終わることから、それほどたいした量のデータを保存していないことが推測できます。
手動で作成したタイミングではファイルのシャドーコピーは作成されず、システムの復元ポイントのみです。
制限
- 前回の作成から24時間以上経過していなければ実行されない
以下のPowershellコマンドで復元ポイントを作成することが可能です。
powershell Checkpoint-Computer -Description "手動で作成" -RestorePointType MODIFY_SETTINGS
しかし、前回の作成から24時間以上経過していなければこのコマンドは無視されます。
- 保存可能な世代数の制限は64世代までです。
- 最大サイズの範囲を超えると古い世代から順に削除されます。
次のコマンドで設定値を確認することもできます。(管理者特権のあるコマンドプロンプトで実行してください)
VSSADMIN List ShadowStorage
復元
作成した復元ポイントに戻す場合や現在作成されている復元ポイントを確認するために使用します。
通常は推奨される復元が選択されていますが、今回は別の復元ポイントに戻してみます。
以下の例では、別の復元ポイントを選択するを選らんでいます。
さらに、すべての復元ポイントを表示させるために他の復元ポイントを表示するを選択しています。
※作成されている復元ポイントのすべてのリストを表示させることが可能です。
このように、復元ポイントは、Windows Update、アプリのインストール、自動のタイミングで作成されます。
また、この操作画面からシステムイメージのバックアップを使用して復元することも可能です。
復元ポイントの確認
復元を実行する最終確認画面です。
影響を受けるプログラムの検出で復元後の状況を推測できるかと思います。
このあと、PCは再起動し選択した復元ポイントの状態で起動します。
正常に復元され起動すると以下のメッセージ画面が表示されます。
※セキュリティソフトの影響で復元に失敗するケースがあるようです。
※その場合は、復元を実行するまえにセキュリティソフトを停止することで正常に完了します。
後遺症
復元ポイントで復元すると、OneDriveのような同期アプリではOneDriveアカウントでのログイン要求が表示されます。
ほかにもアプリによってはアクティベーションや初期設定が必要なものもあるかもしれません。
それは、復元ポイントに含まれていない情報があるため、または不正使用対策のためだと思います。
考察
システムの保護で作成されたバックアップが復元ポイントと呼ばれます。
復元ポイントは、システムへの変更をする前に作成しておけば、万が一、変更後に予期しない事象が発生した場合に、変更前の状態に戻す手段として利用できます。
たとえば、フリーソフトをダウンロードしてインストールしてみたらツールバーが勝手に表示されるようになった。消したいけど消せない。全画面で変なサイトのページが表示されてしまうけどどうすることもできない。支払いの請求が表示される。、また、インストールしたけどアンインストールできない。
などなどが発生した場合に、事前に作成した復元ポイントを使ってインストール前に戻せば、元の状態に戻せる可能性があります。
しかし、この復元ポイントだけではバックアップとしては不完全です。
たとえば、システムドライブの障害、システムドライブの交換などには対応できません。
なぜなら、Cドライブの復元ポイントは同じCドライブに作成されているからです。
また復元ポイントで作成されるデータはシステムの一部のみでありそれだけではOSは起動できません。
さらに写真や画像などの個人用のファイルなどは手動で作成した復元ポイントには含まれていませんので元に戻せません。
※自動で作成された場合は、ファイルのシャドーコピーが作成されています。
なので、復元ポイントの作成では対応できないものに対しては他のバックアップ機能と併用することで、完全なバックアップシステムが構築できるように思います。
次はファイル履歴についての調査を行いと思いますが、長くなったので別の記事にします。