NUC8i5BEHからNUC10i5FNHへのリプレース

NUC10i5FNH

メインPCとして使用していたNUC8i5BEHが不調のため、NUC10i5FNHへリプレースを行いました。これからNUCキットを購入したいなぁという方は、11世代CPU搭載のNUCキットが日本で発売されるのを待ってから決めると良いと思います。

目次

NUC8i5BEHからNUC10i5FNHへのリプレース

NUC10i5FNH

NUC8i5BEHからNUC10i5FNHへのリプレースでは、NUC8i5BEHで使用していたSSDとメモリーをNUC10i5FNHでそのまま使用することにしました。 NUC8i5BEHは使用頻度の低いSeeQVault Serverとして使用し、SSDとメモリはNUC7i3BNKのものを使用することで、購入はNUCキットのみでよくなり費用を抑えることができました。

NUC8i5BEHとNUC10i5FNHの比較

NUC10i5FNH NUC8i5BEH
発売日 2019 Q4 2018 Q3
CPU 1.6 GHz Intel Core i5-10210U Quad-Core 14nm 2.3 GHz Intel Core i5-8259U Quad-Core 14nm
最大ブースト速度 4.2 GHz 3.8 GHz
サポートメモリータイプ 2666 MHz DDR4 2400 MHz DDR4
最大搭載可能メモリ 64GB 32GB
メモリスロット数 2 2
GPU Intel UHD Graphics Intel Iris Plus Graphics 655
ドライブベイ数 1 x 2.5″ (Internal) 1 x 2.5″ (Internal)
SSDスロット 1 x M.2 2280 PCIe x4 1 x M.2 2280 PCIe x4
I/O ポート 2 x USB Type-A (USB 3.1 / USB 3.2 Gen 2) 1 x USB Type-A (USB 2.0) 4 x USB Type-A (USB 3.1 / USB 3.2 Gen 2)
USB Type-C ポート 1 x USB 3.1 / USB 3.2 Gen 2 (Supports Power Delivery) 1 x USB 2.0 1 x Thunderbolt 3 (Supports DisplayPort)
ディスプレイポート 1 x HDMI 2.0b 1 x HDMI 2.0a
オーディオ 1 x 1/8″ / 3.5 mm Headphone/Microphone Input/Output 1 x 1/8″ / 3.5 mm Headphone/Microphone Input/Output
イーサーネット 1 x RJ45 (Gigabit) 1 x RJ45 (Gigabit)
WiFi Wi-Fi 6 (802.11ax) Wi-Fi 5 (802.11ac); Dual-Band (2.4 & 5 GHz)
Bluetooth 5.0 5.0
シャーシ寸法 117 x 112 x 51mm 117 x 112 x 51mm
保証期間 3年間 3年間
技術製品仕様 NUC10i3FN/NUC10i5FN/NUC10i7FN NUC8i3BE/NUC8i5BE/NUC8i7BE

ベンチマーク結果では性能は大きく異なりません。 グラフィック性能はゲームタイトルによって異なる可能性がありますが、黒い砂漠だとIntel Iris Plus Graphics 655の方が2~3くらいFPSが上でした。2.5インチのSATAの接続ケーブルがテープ状で長くなった分、ケース内部へのアクセスはNUC10i5FNHの方が楽です。

NUC10i5FNH

NUC10i5FNHの構成

NUC10i5FNHの構成は以下の通りです。

項目 型番
intel NUC kit NUC10i5FNH ※ACアダプタ付属電源ケーブルなし
メモリ Transcend JM2400HSB-8G x 2枚 DDR4-2400(PC4-19200) 計16GB
ストレージ intel SSD 760p Series SSDPEKKW512G8XT TLC型64層3D NANDメモリチップ 22x80mm M.2 PCIEx4
OS Windows 10 Pro(x64) 20H2
その他 NUC用ACコード C5Type 0.6m(コンセント側3Pin) AC06C05JP

OSがWindows 10 バージョン 20H2となっているのは新規インストールしたためです。

Visual BIOSで「Windows Boot Manager」が表示されない

NUC8i5BEHで使用していたSSDをNUC10i5FNHにそのまま接続しました。接続後の初回起動時には、OSブートが正常に行え、ドライバーの更新を行いました。 この時、古いドライバーを削除してから新規インストールしようと思い、古いシリアルドライバーを削除後にOSを再起動すると、Visual BIOSでBoot可能なオプションリストに「Windows Boot Manager」が表示されず、「ブートデバイスが見つからない」といったエラーでOSが起動しなくなりました。 ※デフォルトの設定だとネットワークブートが有効なのでずっと探索してその画面で静止すると思います。

写真は、M.2 SlotのSSDデバイスが正常に認識されている状態

NUC10i5FNH

写真は、UEFI USB DISKは表示されるがWindows Boot Managerが表示されない

NUC10i5FNH Boot Device

セキュアブート有効の状態でドライバー削除を行ったのが影響したのか?

以下、いろいろ試しましたが状況は変わりませんでした。

  1. セキュアブートを無効化
  2. BIOSバージョンを最新版へアップデート
  3. BIOSをデフォルトに変更
  4. 同じ型番の別のSSDを使用
BIOSのアップデート、Windowsのアップデートなどでパソコンに行ったもしくは起こったいろいろなことが原因でNVRAM内(マザーボードのCMOS)のWindows Boot Managerの内容が書き換わってしまい正常に動作しなくなることがあります。この解決にはWindowsインストールメディアからWindows回復環境(WinRE)を起動して、BCDEDITコマンドを使用して修復すれば改善するケースがあります。

参考資料

UEFI の BCD システムストアの設定 UEFIブート機構とパーティション構成

Windows10 OSの新規インストール

昨年、NUC8i5BEHの調子が悪くなったときにSSDが壊れてしまい、その修理から戻ってきたSSDが余っていたので、このSSDにOSを新規インストールすることにしました。 新規インストールするのであれば、Windows10の最新版をダウンロードしてインストールすることにしました。 そのため、Windows 10のバージョンが20H2になっています。

作成したUSBフラッシュメモリーで正常に起動、そして、Windows10のインストーラーでSSDが認識できていたのでそのままインストールを継続しました。 イメージのコピー後の再起動でSSDから起動できなければ致命的でしたが、問題なく起動できました。 のちにVisual BIOS画面で確認するとブート可能オプションリストに「Windows Boot Manager」が正常に表示されていました。

NUC10i5FNH Boot Device

OSの再インストールにより、NVRAM内の「Windows Boot Manager」が正しく書き換えられようです。

ほかのデバイス

NUC10i5FNH Windows10 20H2

Windows10をインストールすると標準ドライバーではWiFiが利用可能でしたが、有線ネットワークのドライバーは見つからないため使用できませんでした。

Windowsのインストール時にはローカルアカウントを作成してからインストール後にマイクロソフトアカウントで管理するようにしているため、ネットワークが使用できなくても特にインストールには問題はありません。ネットワーク接続がないとマイクロソフトアカウントを推奨されないので逆にありがたいです。

とりあえず、WiFiの接続設定を完了し、接続ができると順番にいくつかのデバイスドライバーがインストールされたようです。 有線ネットワークのドライバーもインストールされ利用可能になりました。

Intel ドライバー&サポート・アシスタントをインストールして、その他のデバイスドライバーのアップデートを行いました。 しかし、相変わらずほかのデバイスが存在します。

NUC10i5FNH WIndows10 20H2

残ったほかのデバイスは、チップセット用デバイスドライバーをインストールすることで解決しました。 NUC10i5FNHの製品ページにあるドライバーバンドルのダウンロードにはなぜかチップセットドライバーが含まれていません。 一覧にあるNUC10i7FN、NUC10i5FN、NUC10i3FN 向けインテル®チップセット・デバイス・ソフトウェアからダウンロードしました。

ネットワークプロファイルをプライベートに変更

Windows10をインストール後はなぜかネットワークプロファイル設定が「パブリック」になってしまうため、「プライベート」に変更して、ネットワークと共有センターで共有のオプション設定を行います。

ラインセンス認証

Windows10のインストールでは、ラインセンスコードの入力をしませんでした。 マイクロソフトアカウントに紐づけられているラインセンスコードが利用できると思っていたためですが、ネットワークに接続してマイクロソフトアカウントに変更してもライセンス認証ができませんでした。仕方がないので、Windows8.1 Proのライセンスコードを再度入力して、ラインセンス認証ができました。

カスペルスキーインタネットセキュリティ

Windows10をクリーンインストールしたため、カスペルスキーインタネットセキュリティをインストールしました。 ライセンスはインターネットサービスプロバイダーの月契約で5台までアクティベーションが可能です。 マイカスペルスキーへログインしてアクティベーションの設定をしますが、回数の上限をオーバーしたためアクティベーションができませんでした。 チャットで問い合わせを行い、対処してもらったらすぐにアクティベーションが成功しました。マイカスペルスキーでライセンス数の上限を超えないように利用台数を調整して管理していましたが、今回のエラーは利用可能台数の制限ではなくて変更回数の上限に達してしまったのが原因のようです。

個人データの復元

個人データの復元方法は、バックアップの有無によって選択肢がいろいろです。

SSDからの復元

Windows 10をクリーンインストールしたSSDには以前の個人データは残っていませんが、以前使用していたSSDはそのままなので、M.2 M-Key接続をUSB Type-C 接続に変換するケースに入れてPCに接続すれば、個人データはそのままコピーできます。ただし、この場合、アクセス権の設定が同じユーザ名であってもSIDが異なるため別人扱いです。 適切なアクセス権を付与すれば移動またはコピーが可能です。

ファイル履歴から復元

ファイル履歴からの復元ができるのかどうか? 手順を失敗してしまい、ファイル履歴を有効にしてドライブ設定をしてしまうと、ファイル履歴の初回バックアップが行われるため、同じドライブを指定してしまうと上書きされてしまうようです。以前のファイル履歴からは復元ができませんでした。 バックアップ設定をする前に以前のファイル履歴の検索をすれば復元ができたのかもしれません。

Nextcloudの同期を使った復元

実際に行った方法は、Nextcloudの同期を使った方法です。 以前から個人フォルダーはNextcloudで直接同期設定をしていたので、NextcloudのWindows用クライアントをインストールして、該当ユーザでログインして、個人フォルダーを同期設定すれば同期が開始されサーバー上のファイルのコピーがローカルに作成されます

OneDriveからの復元

OneDriveという名前になる前はバックアップができていましたが、いつの間にかまたバックアップができるようになっています。 おそらく、このバックアップ対象は個人フォルダーのみだと思いますが、OneDriveに容量が十分にある方であれば重宝する機能だと思います。

メールフォルダーの復元

メールはThunderbirdを使用して、デフォルトのプロファイルフォルダーではなく、ユーザディレクトリ直下にMailフォルダーを作成してそこを利用していました。 当初は、Nextcloudで同期設定をしていましたが、コンフリクトが頻繁に発生するため、同期は解除し、ファイル履歴のバックアップで復元するように設計しました。 しかし、前述のように復元ができなくなったので、以前使用していたSSDから直接コピーして復元しました。

その他アプリケーションの復元

基本的にアプリケーションは、公式サイトから最新版をダウンロードして再インストールすることで対応しました。 ただし、インストーラタイプではないものやオンラインダウンロード販売のアプリケーションに関しては、共有フォルダーにあるバックアップから復元しました。 そのほか、INFなどのアプリケーションの設定ファイルはバックアップから復元しました。 ゲームなどのスクリーンショットはインストールフォルダーに保存される場合とドキュメントフォルダー内に保存される場合があるのでそれぞれ以前使用していたSSDからコピーして復元しました。

以上でほぼ以前の環境に戻すことができました。

UEFI Boot、Secure Boot、Fast Boot

Intelは2020年に従来のBIOSのサポートを終了するとアナウンスしています。従来のBIOSとは、UEFI クラス0、UEFI クラス1、UEFI クラス2を意味しているようです。 2020年以降はUEFI bootのみになります。 これにより今後はUEFIマザーボードでCSM(Compatibility Supported Module:レガシーBIOS互換)が完全に使えなくなりUEFI クラス3の製品が登場します。11世代CPU搭載NUCキットはおそらくUEFI クラス3だと思います。

10世代CPU搭載のNUCキットは、2020年以前の発売ですので、CSMは使用可能ですが、レガシーブートなどはBIOS セットアップで灰色表示されています。今後は、UEFI クラス3の製品のみになるのであれば正しいデフォルトの設定だと思います。 もし、これを有効にする必要がある場合には、いくつかの設定に依存関係があるため、その設定を変更すれば選択が可能になります。

参考資料レガシーブートは BIOS セットアップで灰色表示されています

AMI Aptio V UEFIファームウエア

今回購入したNUC10i5FNHは、Aptio V UEFIを搭載しているため、NUC7i3BNKやNUC8i5BEHなどのNUCとはファームウェアアップデートの方法が少し異なります。 また、ファームウェアの拡張子が(.CAP)になります。

参考資料Aptio® V UEFI ファームウェア・コアを搭載したインテル® NUC の BIOS アップデートおよびリカバリー手順

USB PD非対応?

USB PDとはUSB Power Deliveryの略でUSBの電源供給の規格のことです。 USB Type-Cポートは前面パネルと背面パネルにそれぞれ1ポートありますが、どちらもUSB 3.1 Gen2です。背面パネルのほうはThunderbolt 3(DP1.2)です。 PD対応してるのではない?と思えるのですが、ほかの方のレビューを見ると非対応と記載があります。

電力供給源(ソース) NUC10i5FNH 前面 USB Type-Cポート
ケーブル RAVPower RP-PB186付属 Type-C to Type-C
電力受給側(シンク) Xperia 1 SOV40
計測器 Ampere V3.38 Route R RT-TCRXB

計測結果

[col2_sp]約11.3W

[/col2_sp] [col2_sp]約12.6W[/col2_sp]

どちらの計測結果も10W以上でした。 Ampereの計測値は本体内部のセンサーなどからの値なので、入力電圧に関係なく本体のバッテリーの電圧値になってしまいます。 すくなくともこのXperia1では5V以上は表示されたことがありません。

PD(PowerDelivery)の記載がないのでUSB Type-C Currentの場合は、5V/3A(または5V/1.5A)なので15W(7.5W)までの充電が可能です。 しかし、Route R RT-TCRXBでは電圧が5Vではなくそれ以上の8.46Vで電圧が合いません。

とりあえず計測値では約12Wの充電ができているようです。

ドライバー&ソフトウェア

NUC10i5FNH用ドライバー&ソフトウェアには「USB Type C Power Delivery Controller for Windows® 10 64-bit for Intel® NUC」があります。 リリースノートやReadmeがないのでよくわかりません。

そこで仕様書を確認してみました。

技術製品仕様

技術製品仕様Intel® NUC Products NUC10i3FN/NUC10i5FN/NUC10i7FN Technical Product Specification

Intel® NUC Products NUC10i3FN/NUC10i5FN/NUC10i7FN Technical Product Specification

P.26より抜粋

関連する記述は

  • USB 3.1 Gen2 Type-Cポートが2つある 1つが背面パネルのType-Cコネクタで実装されている もう1つが前面パネルのType-Cコネクタで実装されている
    • 最大電力は15W+4.5W 最初に接続されたデバイスで最大15W 2番目に接続されたデバイスで最大4.5W
  • USB 3.1 Gen2 Type-Aポートが2つある 1つが背面のType-Aコネクタ(青)で実装されている もう1つが前面のType-Aコネクタ(青)で実装されている
    • 各ポートは最大電流は900mA
  • USB2.0ポートは4ポート(ヘッダーピン2個) ボードレイアウト図(LとO)
  • 1つのヘッダーピンで2ポートをサポート
    • 1ポート最大500mA
    • 1つのヘッダーピンで最大1A

Power Deliveryの文字は見つけられませんでしたが、計測値はほぼ正しいようです。

Intel® NUC Products NUC10i3FN/NUC10i5FN/NUC10i7FN Technical Product Specification

P.28より抜粋

これはThunderbolt 3に関する記述ですが、電力供給について電流値と電圧の記載があります。

  • USB 3.1 Gen2 Type-Cポート(背面パネル)
    • 3Aで最大5V(15W)
    • 2Aで最大9V(18W)

先ほどの26ページから背面パネルのUSB Type-Cポートと前面パネルのUSB Type-Cポートは対であることがわかるため、前面パネルのUSB Type-Cポートの電力供給も同じはずです。

以上から、前面パネルのType-Cポートからの充電テストでは9V/2Aの充電が行われたと判断しました。 よってPD2.0なのかPD3.0なのかは不明ですが、5V/1.5A以上の急速充電が可能であることが確認できました。

関連記事NUC8i5BEHのクーリングの不具合に関する記事です。

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8世代CPU搭載NUCと10世代CPU搭載NUCではあまり性能差がありません。これからNUCキットの購入を考えているのであれば、21年4月までには11世代CPU搭載のNUCキットが日本で販売されているでしょうから、11世代CPU搭載NUCがどんな感じなのかを待ってからがおススメです。 Intel® NUC Kit with 11th Generation Intel® Core™ Processors
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この記事を書いた人

大阪府門真市に生まれ、高校卒業まで京都府福知山市で育ち、大学は工学部電子工学科を卒業。半導体設計会社に勤務ののちインフラエンジニアとして監視基盤の運用設計業務に就く。現在は都内の施設に勤務。横浜在住。人の役に立てることができればいいなと日々思っています。

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